20070812開設
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
<注>以下のssは、某番組内での某男性アイドルグループの談話を元に最遊記キャラに当て嵌めて書かれています。
S〇APの真剣なファンの方、並びにパラレルの苦手な方は、閲覧回避をお勧め致します。
大丈夫な方はどうぞ↓
・・・何だって俺はこんな所にいるんだ。
物事全てが俺の周りで目まぐるしく流れていく中、自分だけが置き去りにされているような気がする。というか実際置き去りにされている。
全ての発端は叔母からの電話だった。
『おう喜べ、〇ャニーズ事務所のオーディションにお前の写真とプロフィールを送ったら一次選考パスしたんだ、今から言う場所に今度の日曜、二次選考に行け』
本人の了承なしに男性アイドル専門プロダクションに人のプロフィールを送っといて、悪びれもせず言い放つ様に、もう少しで受話器を握り壊すところだった。
とにかくその言動は破天荒で、俺は何度も奴のせいで辛酸を舐めさせられたものだ。
もちろんそんなもの無視しようとしたが、ここで親父が俺に言ったのだ。
『先方が貴方のために時間を作っているのに、それを反故にするのは失礼な事ですよ』
親父にそう言われると、反論のしようもない。
そんな訳で、俺は渋々このオーディションに参加したのだ。
失格ならそれで結構、万が一受かってしまったら、その時点で辞退届を出すつもりだ。
そう考えれば少し気が楽になり、周りを見渡す余裕も出てきた。
まあこうして見ると、確かに男性アイドルを抱える超有名プロダクションだけあって、それなりに顔立ちの整っている奴が多い。
が、まだ10代(今回のオーディション対象は中高生だった)なだけあって、傍に母親が控えていたり、物珍しそうにキョロキョロしていたりと、授業参観みたいな状態だ。
早く帰りてぇと思いながら、同じくオーディションの順番を待つ隣の席の奴を見て、何だこいつ、と思った。
隣に座っているのは俺と同い年くらいの、黒に近い焦げ茶の髪をした、どちらかというと真面目そうなタイプ。
何が変って、こいつではなく、その同伴者だ。
俺のように1人で来ているか、母親が同伴している奴が大半の中で、こいつの傍にくっ付いているのは、どう見ても姉というべき年齢だ(オーディションを受ける本人より堂々としている辺り、妹ではないだろう)。
十中八九、こいつの書類はこの姉(推定)が出したんだろう。そう思うと、僅かだが同情心が湧いてくる。
と、不意にその姉(推定)がこっちを向いた。
弟(これも推定)のライバルの様子見か、と思いきや、やおらバッグから小さなスケッチブックを取り出すと、
「サインいただけます?」
「・・・・・・は?」
ちょっと待て、ここはオーディション会場の、しかも審査の順番待ちの席だ。
選考にパスするかどうかも分からない奴のサインなんか貰ってどうするつもりだ?
「絶対受かるわ、貴方。私のカンがそう言うんですもの。だから今の内にサイン貰っておこうと思って」
「・・・・・・」
その自身たっぷりな物言いが、奇しくも叔母に似ていたためかも知れない。
余計な反論はせずそのスケッチブックを受け取り、同じく受け取ったペンで名前を書いた(タレントが書くようなサインなんざ書けるわけがねぇ)。
「・・・これでいいか?」
「有り難う、大事にするわ。弟と同期デビューってことになりそうね。私から宜しくお願いするわ」
それもあんたのカンかよ。
どう見ても自分と左程変わらない年齢なのに、どこか掴めない空気をまとう女の言葉は、まるで予言めいて聞こえた。
その後、俺は二次選考をパスした。
その時、ローラースケートでのスケーティングがおぼつかなかった俺とは対照的に、あの女の弟は見事なステップで、これまた二次選考パスだった。
何となく、あの女が笑った顔が見えたせいかも知れない。
二次選考をパスしても、その時点で辞退届を出すつもりだった最初の考えは何処へやら、がぜん負けず嫌いが顔を出し、根性でスケーティングを習得した俺は、最終審査で大物アイドルグループのバックダンサーを務め、プロダクションとの契約が決まった。
もちろん、あの女の弟も一緒だ。
しかも、プロダクションはそいつと俺と、あと3人を合わせた5人でアイドルグループを結成させ、しかもそれが大当たりしてしまった。
今や俺達は、押しも押されもせぬアイドル歌手の頂点に立ったのだ。
「へー、じゃあさんぞーが歌手になったのって、八戒のねーちゃんのお陰なんだ」
トーク番組で、グループのリーダーである悟空が感心したように言う。
「三蔵サマに、単独で正面切ってそんな事言えるって、結構度胸なくね?」
と、ガタイはグループで最もいいが、何故か子供に好かれ、バラエティ番組に引っ張りだこの悟浄。
「へえぇ、八戒はん、お姉さんが付いてくれていんとオーディションにも来られん根性なしやったんやな」
歌にダンス、演技も出来て、ドラマやCMの出演はグループNo.1のヘイゼルが、嫌味たらしく言う。
「僕、あの時姉に騙されて連れて来られたんですよ。『繁華街に行くけど自分一人じゃ怪しいスカウトに呼び止められそうで怖いから』なんて言われたら、付いて行くしかないじゃないですか。
それより今現在もボディーガードに付きっ切りでお守りしてもらっている貴方の方が根性なしなんじゃありませんか?」
ルックスと踊り、そして明晰な頭脳の持ち主でありながら、微妙に歌だけ今一つな八戒が、ヘイゼルに反撃する。
「・・・・・・冷房を切ってくれ」
一応芸能人として、メンバーのせいで撮影スタッフに被害が及ぶのは防がねばならない。
ヘイゼルと八戒を中心に剣呑な空気が漂い始め、悟空と悟浄がガタガタ震えだしたのを見て、俺はため息をつきながら近くにいるADに頼んだ。
どっとはらい
追記:数時間前に見た「うたば〇」の内容を脚色、SMA〇のメンバーをこの5人に当て嵌めて作成しました。八戒が元からこの名前かどうかは、特に決めていません。
キムタ〇を歌手デビューに向けて本気にさせたきっかけの一つが、生まれて初めてサインを求められた事で、しかもその相手が同じ会場にいた稲垣吾〇のお姉様だったそうで、
『ゴローの姉ちゃん』が普通に『悟能の姉ちゃん』に聞こえた自分の耳万歳(爆)。
もうこうなったら止まりません。三蔵と花喃姉様って本当に楽しい組み合わせですね♪
あ、名前の出ていない『叔母』と『親父』と『ボディーガード』はもちろんアノ人とアノ人とアノ人です(笑)。
S〇APの真剣なファンの方、並びにパラレルの苦手な方は、閲覧回避をお勧め致します。
大丈夫な方はどうぞ↓
・・・何だって俺はこんな所にいるんだ。
物事全てが俺の周りで目まぐるしく流れていく中、自分だけが置き去りにされているような気がする。というか実際置き去りにされている。
全ての発端は叔母からの電話だった。
『おう喜べ、〇ャニーズ事務所のオーディションにお前の写真とプロフィールを送ったら一次選考パスしたんだ、今から言う場所に今度の日曜、二次選考に行け』
本人の了承なしに男性アイドル専門プロダクションに人のプロフィールを送っといて、悪びれもせず言い放つ様に、もう少しで受話器を握り壊すところだった。
とにかくその言動は破天荒で、俺は何度も奴のせいで辛酸を舐めさせられたものだ。
もちろんそんなもの無視しようとしたが、ここで親父が俺に言ったのだ。
『先方が貴方のために時間を作っているのに、それを反故にするのは失礼な事ですよ』
親父にそう言われると、反論のしようもない。
そんな訳で、俺は渋々このオーディションに参加したのだ。
失格ならそれで結構、万が一受かってしまったら、その時点で辞退届を出すつもりだ。
そう考えれば少し気が楽になり、周りを見渡す余裕も出てきた。
まあこうして見ると、確かに男性アイドルを抱える超有名プロダクションだけあって、それなりに顔立ちの整っている奴が多い。
が、まだ10代(今回のオーディション対象は中高生だった)なだけあって、傍に母親が控えていたり、物珍しそうにキョロキョロしていたりと、授業参観みたいな状態だ。
早く帰りてぇと思いながら、同じくオーディションの順番を待つ隣の席の奴を見て、何だこいつ、と思った。
隣に座っているのは俺と同い年くらいの、黒に近い焦げ茶の髪をした、どちらかというと真面目そうなタイプ。
何が変って、こいつではなく、その同伴者だ。
俺のように1人で来ているか、母親が同伴している奴が大半の中で、こいつの傍にくっ付いているのは、どう見ても姉というべき年齢だ(オーディションを受ける本人より堂々としている辺り、妹ではないだろう)。
十中八九、こいつの書類はこの姉(推定)が出したんだろう。そう思うと、僅かだが同情心が湧いてくる。
と、不意にその姉(推定)がこっちを向いた。
弟(これも推定)のライバルの様子見か、と思いきや、やおらバッグから小さなスケッチブックを取り出すと、
「サインいただけます?」
「・・・・・・は?」
ちょっと待て、ここはオーディション会場の、しかも審査の順番待ちの席だ。
選考にパスするかどうかも分からない奴のサインなんか貰ってどうするつもりだ?
「絶対受かるわ、貴方。私のカンがそう言うんですもの。だから今の内にサイン貰っておこうと思って」
「・・・・・・」
その自身たっぷりな物言いが、奇しくも叔母に似ていたためかも知れない。
余計な反論はせずそのスケッチブックを受け取り、同じく受け取ったペンで名前を書いた(タレントが書くようなサインなんざ書けるわけがねぇ)。
「・・・これでいいか?」
「有り難う、大事にするわ。弟と同期デビューってことになりそうね。私から宜しくお願いするわ」
それもあんたのカンかよ。
どう見ても自分と左程変わらない年齢なのに、どこか掴めない空気をまとう女の言葉は、まるで予言めいて聞こえた。
その後、俺は二次選考をパスした。
その時、ローラースケートでのスケーティングがおぼつかなかった俺とは対照的に、あの女の弟は見事なステップで、これまた二次選考パスだった。
何となく、あの女が笑った顔が見えたせいかも知れない。
二次選考をパスしても、その時点で辞退届を出すつもりだった最初の考えは何処へやら、がぜん負けず嫌いが顔を出し、根性でスケーティングを習得した俺は、最終審査で大物アイドルグループのバックダンサーを務め、プロダクションとの契約が決まった。
もちろん、あの女の弟も一緒だ。
しかも、プロダクションはそいつと俺と、あと3人を合わせた5人でアイドルグループを結成させ、しかもそれが大当たりしてしまった。
今や俺達は、押しも押されもせぬアイドル歌手の頂点に立ったのだ。
「へー、じゃあさんぞーが歌手になったのって、八戒のねーちゃんのお陰なんだ」
トーク番組で、グループのリーダーである悟空が感心したように言う。
「三蔵サマに、単独で正面切ってそんな事言えるって、結構度胸なくね?」
と、ガタイはグループで最もいいが、何故か子供に好かれ、バラエティ番組に引っ張りだこの悟浄。
「へえぇ、八戒はん、お姉さんが付いてくれていんとオーディションにも来られん根性なしやったんやな」
歌にダンス、演技も出来て、ドラマやCMの出演はグループNo.1のヘイゼルが、嫌味たらしく言う。
「僕、あの時姉に騙されて連れて来られたんですよ。『繁華街に行くけど自分一人じゃ怪しいスカウトに呼び止められそうで怖いから』なんて言われたら、付いて行くしかないじゃないですか。
それより今現在もボディーガードに付きっ切りでお守りしてもらっている貴方の方が根性なしなんじゃありませんか?」
ルックスと踊り、そして明晰な頭脳の持ち主でありながら、微妙に歌だけ今一つな八戒が、ヘイゼルに反撃する。
「・・・・・・冷房を切ってくれ」
一応芸能人として、メンバーのせいで撮影スタッフに被害が及ぶのは防がねばならない。
ヘイゼルと八戒を中心に剣呑な空気が漂い始め、悟空と悟浄がガタガタ震えだしたのを見て、俺はため息をつきながら近くにいるADに頼んだ。
どっとはらい
追記:数時間前に見た「うたば〇」の内容を脚色、SMA〇のメンバーをこの5人に当て嵌めて作成しました。八戒が元からこの名前かどうかは、特に決めていません。
キムタ〇を歌手デビューに向けて本気にさせたきっかけの一つが、生まれて初めてサインを求められた事で、しかもその相手が同じ会場にいた稲垣吾〇のお姉様だったそうで、
『ゴローの姉ちゃん』が普通に『悟能の姉ちゃん』に聞こえた自分の耳万歳(爆)。
もうこうなったら止まりません。三蔵と花喃姉様って本当に楽しい組み合わせですね♪
あ、名前の出ていない『叔母』と『親父』と『ボディーガード』はもちろんアノ人とアノ人とアノ人です(笑)。
PR
この記事にコメントする