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北の台地から舞い戻ってきて最初の休日を迎えた香月です。
職場と身内へのお土産でお財布すっからかんなので、代わりにこんな小咄↓
機内からタラップへ一歩踏み出すと、この季節特有の湿っぽい空気が纏わりつく。
「あっちぃ・・・」
北の大地で5月一杯過ごした身としては、この気温と湿度は不快指数100に限りなく近い。
早足で空港の建物内に移動すると、喫煙ルームを探してまずは一服。
空調の効いた空間とニコチンの摂取で心身共に落ち着いたところで、預けた荷物を受け取りに行く。
黒く長いコンベアの周囲には、同じ飛行機に乗っていた客がわんさか集まり、コンベアが動くのを待っている。
今回は、スーツケースだけでなく資料・資材の入った紙袋と、傘も2本預けている。というのも、出張初日(移動日)、都内は大雨で折りたたみ傘では役に立たなかったというのと、出張中、取引先からの帰りに強いにわか雨に降られた事があって、資材を濡らすとアウトなのでやむを得ずコンビニでビニル傘を買ったからだ。
ゴトン ウイィィン・・・
モーター音と共にコンベアが動き出した。
最初に出て来たのは、『スーツケースの受け取り間違いが発生しています。荷物のタグをよく確認して下さい』という、お決まりの注意書きのプレート。まあ、黒いスーツケースっつったら掃いて捨てる程あるだろうから、実際気を付けなきゃならんだろうけど。
そしてその注意書きプレートの後ろに、青いプラスチックのコンテナボックスが並び、中に特徴的なJの形の柄が見えた。
成る程、傘はああいうコンテナボックスに入れて運ぶのか。剥き出しだと他の荷物に押されて曲がるかもだもんな。
そう納得しつつ、そのコンテナボックスに近付き、手を伸ばそうとしてその手が止まった。
・・・ちょっと待て。
コンテナボックスの中には、出張初日に持っていた長傘と、ビニル傘が5本。
どれも見た目は同じで、自分の買ったビニル傘がどれかなんて見分けがつかない。
手元のタグの数字を見なきゃ、という考えに至った時には既に遅く、5本のビニル傘を入れたコンテナボックスは、手の届く範囲を離れてしまっていた。
「――で、その箱が一周廻って来るのを待っていたので遅くなった、と」
「しゃーねーだろ、そのまま放置っつーワケにもいかねぇだろーが」
「そもそも最初からタグの番号を覚えておけば何の問題も生じなかったでしょうに」
「まさか他の客の傘とまとめて同じ箱に入れられているなんて思わねぇって」
車で迎えに来てくれた親友に事の顛末を話すと、帰って来たのは冷たい反応。
土産に欲しいと言ってた瓶入りのマリモ、渡すのよそうかと思ったが、
そう言えば言ったで後でどんな報復が来るか判らねぇ。
ナンで俺だけこんな気苦労しなきゃなんねぇのさ?
どっとはらい。
3週間の出張中、やむを得ずビニル傘を購入したことがあるんですが、まさか全く同じ見た目の傘が5本も集結するとは思いませんで、コンテナボックスを前に硬直してしまったです(^_^;)。
もちろん周回遅れで引き取り成功しましたけどね。
ちなみに八戒さんが北の大地のお土産にマリモを所望したのは、亡き花喃姉様が昔修学旅行の時に欲しくても買えない経験をしたから。500円って大人にとっては少額でも、自由なお金を持たない子供にとっては大金なんです。