派生形？

　「三蔵！」

　切羽詰った声を上げ、走り寄る八戒。

「･･･くっ･･･」

　左目にあてた手の隙間から、赤くどろりとした液体が伝う。
　その、独特の粘度と――鼻に付く、臭い。

「さん、ぞ･･･」
「おい･･･ヤバいんじゃねぇの？」

　少し離れた場所で、固まったように動かない悟空と悟浄。
　ゴクリ、と誰かが唾を飲み込む音が、やけに大きく聞こえる。
　しばらく身を屈めていた三蔵が、おぼつかない所作で上体を起こすと――


　スパ――――ンッ

「ケチャップの容器は振り回すモンじゃねぇのが解らんのかこの猿頭！！！」

「いってーっ！！元々俺が使ってるのを悟浄が横からぶん取ろうとしたのが悪いんだってば！」
「人の所為にすんじゃねぇ！ケチャップが出てくるのをチンタラ待ってるお前に代わって出してやとうとしたんじゃねぇか！」

　再び、部屋中に痛そうな音が響き渡った――2回。

　どっとはらい

追記：下の日誌by館長を先に読むと完全にネタバレになりますが。
言っちゃナンですが、シンプルな文章に装飾を付けて言い回しを捻って長い文章を書くのは結構得意。むしろ短くまとめるのが大の苦手。サイトの作品にも表れていますね。