20070812開設
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※昨日の19:30~21:00頃まで、web拍手がサーバ障害で繋がりませんでした。その時間帯に拍手をして下さった方には、大変ご迷惑をお掛け致しました。
少し前に見た某雑学クイズ番組から、こんなss↓
「三蔵」
宿でくつろいでいるところに、八戒が話し掛けてきた。
まだ夕食も済んでいないのに行路の相談か?と思いきや、少し様子が違うようである。
現に、奴が手にしているのはいつもの地図ではなく、何かの本だ。
「・・・何だ」
「三蔵は、『寿限無』をご存知ですか?」
何の前置きも無く切り出してきた内容に、その意図するところが解らず、顔を顰める。
『寿限無、寿限無 五劫の擦り切れ・・・』で有名な落語の代表的演目の一つ。
話の筋を知らなくとも、その珍妙な『名前』ぐらいは知っているものだが。
「そりゃ、細かい台詞とかは流石に知らんが、名前の部分は覚えてるな」
先代が、それはそれは洒落の利いた人物だったのだ、よく町へ出ては寄席に足を運ぶ、それに付き合わされた記憶が不意に蘇った。
「なるほど、素質はありそうですね」
「あ゛ぁ?」
・・・俄に雲行きが怪しくなってきた。
「光陰矢の如し、といいます。今から始めても決して早過ぎることはないと思うんですよ」
と言って、持っていた本をずい、と差し出した。
そのタイトルは――
『隔週刊落語百選 DVDコレクション』
「これはですね、毎号2タイトルの演目が収録されてまして、DVDを見ることで台詞と仕草を覚えていくというものなんです。ブックレットには落語で使われる用語の解説なども入っていて、本格的に落語を学ぶのにも適しているんですって。
あ、初回特典として、扇子と手拭いも入っているんですよ♪」
まるでどこぞの分冊百科専門出版社の回し者かと思われるほど、流暢な宣伝文句だ。
が、言われた側にそれを突っ込む気力はない。
「・・・何だって、俺に勧めるんだ」
つーか自分がやれ。
言外にそう含ませて言ってみるが、言われた側は察する様子もなく、
「ヤですねぇ、貴方だから必要なんじゃないですか」
「あ゛?」
訳が解らん。
「落語というのはですね、元を『落とし話』といいまして、その名の通り話に『落ち』がつくからそう言われるんですが、元々この『落とし話』を演じたのは、お坊さんなんだそうです――って何処へ行かれるんですか三蔵?」
「・・・タバコ・・・」
「忘れたんですか?マルボロを切らしているから、悟浄と悟空に買出しの際タバコも買うよう言ってたじゃありませんか」
・・・そういえばそうだった。
こいつ、俺に逃げる口実が無い事を知って話を持ち掛けやがったな。
「――で、話の続きですが・・・
お坊さんは、檀家さんの獲得の為に、人を集めて説法を解くんですが、古今東西有り難いお話というのは耳に痛く、面白くも何ともない、なので面白い『落とし話』をして人を集め、その後説法を解く、というところから始まったそうなんです」
「・・・落語の由来とやらはよーく分かった。
で、なぜ俺が檀家の獲得に奔走しなきゃならん」
何せ毎日寝る場所の変わる旅の中、ゴールドカードもあるので、布施を乞う必要もない。
「・・・そう。今僕達は金銭的には非常に恵まれた状況にいるんです。
でも、この旅が終わったら?
元々経文の情報を得るためだけに慶雲院にいたんですから、ケリさえ着けば、慶雲院最高責任者なんて地位、鬱陶しいだけでしょう?」
「・・・・・・」
確かに、それはそうだが。
「といっても、貴方が僧侶以外に転職なんて、へそが茶を沸かすようなものですし」
否定は出来んが、相当馬鹿にした言い方に聞こえるのは俺だけか?
「・・・街中で托鉢するぐらい、これまでにもしていたぞ」
「だ・か・ら、貴方は考えが微妙に浅いんですよ。
貴方が托鉢で命を繋いでいた時、悟空はいましたか?」
言われて、ぐうの音も出ない。
そう、自分一人分の食い扶持だけ(しかも当時酒もタバコもしてなかった)なら、それで何とかなるだろう。だが――
「もちろん、悟空が貴方の下を離れないとは限りませんが、悟空が貴方の傍にいる限り、僕も保父業を放棄するわけにはいきません。そりゃ僕だって家庭農園を作ったり、外で働くこともしますが、とにかく貴方は3人分以上の食費を稼ぐ必要に迫られるわけです」
正直な話、5、6人分の食費でも足りるかどうか。
「なので、一番確実な手段として、檀家からお布施をいただく、そのために、『落とし話』でより多くの檀家を獲得する、そういうわけなんで三蔵、今日からバッチリ特訓ですね☆」
「~~~~~~っ!!」
結局。
八戒と一緒にいた部屋から光の速さで逃げ出した(逃げないと本気でヤバいと思ったのは、後にも先にもあの時だけだと、後に彼は語った)三蔵は隣の悟浄と悟空(荷物を部屋に置いて買出し中)の部屋に篭城し、
帰宅した悟浄と悟空が「「俺達が頑張って働くから!」」と八戒に土下座するまで、その奇妙な攻防は続いたのだった――
どっとはらい。
追記:『落語は元々「落とし話」といわれ、お坊さんが説法のため人を集める際に面白い話をしたことから始まった』という雑学。
これを聞いた瞬間、この話が思い浮かびました。
確か御大が『コゼロサム』その他で出した『坊主は名探偵』のエピソードでも、八戒は落語研究会に入っているんですよ。
ちなみに、文中の『どこぞの分冊百科専門出版社』はディ〇ゴスティー〇のことです。
少し前に見た某雑学クイズ番組から、こんなss↓
「三蔵」
宿でくつろいでいるところに、八戒が話し掛けてきた。
まだ夕食も済んでいないのに行路の相談か?と思いきや、少し様子が違うようである。
現に、奴が手にしているのはいつもの地図ではなく、何かの本だ。
「・・・何だ」
「三蔵は、『寿限無』をご存知ですか?」
何の前置きも無く切り出してきた内容に、その意図するところが解らず、顔を顰める。
『寿限無、寿限無 五劫の擦り切れ・・・』で有名な落語の代表的演目の一つ。
話の筋を知らなくとも、その珍妙な『名前』ぐらいは知っているものだが。
「そりゃ、細かい台詞とかは流石に知らんが、名前の部分は覚えてるな」
先代が、それはそれは洒落の利いた人物だったのだ、よく町へ出ては寄席に足を運ぶ、それに付き合わされた記憶が不意に蘇った。
「なるほど、素質はありそうですね」
「あ゛ぁ?」
・・・俄に雲行きが怪しくなってきた。
「光陰矢の如し、といいます。今から始めても決して早過ぎることはないと思うんですよ」
と言って、持っていた本をずい、と差し出した。
そのタイトルは――
『隔週刊落語百選 DVDコレクション』
「これはですね、毎号2タイトルの演目が収録されてまして、DVDを見ることで台詞と仕草を覚えていくというものなんです。ブックレットには落語で使われる用語の解説なども入っていて、本格的に落語を学ぶのにも適しているんですって。
あ、初回特典として、扇子と手拭いも入っているんですよ♪」
まるでどこぞの分冊百科専門出版社の回し者かと思われるほど、流暢な宣伝文句だ。
が、言われた側にそれを突っ込む気力はない。
「・・・何だって、俺に勧めるんだ」
つーか自分がやれ。
言外にそう含ませて言ってみるが、言われた側は察する様子もなく、
「ヤですねぇ、貴方だから必要なんじゃないですか」
「あ゛?」
訳が解らん。
「落語というのはですね、元を『落とし話』といいまして、その名の通り話に『落ち』がつくからそう言われるんですが、元々この『落とし話』を演じたのは、お坊さんなんだそうです――って何処へ行かれるんですか三蔵?」
「・・・タバコ・・・」
「忘れたんですか?マルボロを切らしているから、悟浄と悟空に買出しの際タバコも買うよう言ってたじゃありませんか」
・・・そういえばそうだった。
こいつ、俺に逃げる口実が無い事を知って話を持ち掛けやがったな。
「――で、話の続きですが・・・
お坊さんは、檀家さんの獲得の為に、人を集めて説法を解くんですが、古今東西有り難いお話というのは耳に痛く、面白くも何ともない、なので面白い『落とし話』をして人を集め、その後説法を解く、というところから始まったそうなんです」
「・・・落語の由来とやらはよーく分かった。
で、なぜ俺が檀家の獲得に奔走しなきゃならん」
何せ毎日寝る場所の変わる旅の中、ゴールドカードもあるので、布施を乞う必要もない。
「・・・そう。今僕達は金銭的には非常に恵まれた状況にいるんです。
でも、この旅が終わったら?
元々経文の情報を得るためだけに慶雲院にいたんですから、ケリさえ着けば、慶雲院最高責任者なんて地位、鬱陶しいだけでしょう?」
「・・・・・・」
確かに、それはそうだが。
「といっても、貴方が僧侶以外に転職なんて、へそが茶を沸かすようなものですし」
否定は出来んが、相当馬鹿にした言い方に聞こえるのは俺だけか?
「・・・街中で托鉢するぐらい、これまでにもしていたぞ」
「だ・か・ら、貴方は考えが微妙に浅いんですよ。
貴方が托鉢で命を繋いでいた時、悟空はいましたか?」
言われて、ぐうの音も出ない。
そう、自分一人分の食い扶持だけ(しかも当時酒もタバコもしてなかった)なら、それで何とかなるだろう。だが――
「もちろん、悟空が貴方の下を離れないとは限りませんが、悟空が貴方の傍にいる限り、僕も保父業を放棄するわけにはいきません。そりゃ僕だって家庭農園を作ったり、外で働くこともしますが、とにかく貴方は3人分以上の食費を稼ぐ必要に迫られるわけです」
正直な話、5、6人分の食費でも足りるかどうか。
「なので、一番確実な手段として、檀家からお布施をいただく、そのために、『落とし話』でより多くの檀家を獲得する、そういうわけなんで三蔵、今日からバッチリ特訓ですね☆」
「~~~~~~っ!!」
結局。
八戒と一緒にいた部屋から光の速さで逃げ出した(逃げないと本気でヤバいと思ったのは、後にも先にもあの時だけだと、後に彼は語った)三蔵は隣の悟浄と悟空(荷物を部屋に置いて買出し中)の部屋に篭城し、
帰宅した悟浄と悟空が「「俺達が頑張って働くから!」」と八戒に土下座するまで、その奇妙な攻防は続いたのだった――
どっとはらい。
追記:『落語は元々「落とし話」といわれ、お坊さんが説法のため人を集める際に面白い話をしたことから始まった』という雑学。
これを聞いた瞬間、この話が思い浮かびました。
確か御大が『コゼロサム』その他で出した『坊主は名探偵』のエピソードでも、八戒は落語研究会に入っているんですよ。
ちなみに、文中の『どこぞの分冊百科専門出版社』はディ〇ゴスティー〇のことです。
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