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 今日見たYah〇o!内コンテンツより、こんなss(桃源郷・旅の前)↓




 それは、うだるような夏のある日の事だった。

「悟浄、今日のお昼、何か食べたい物はありますか?」
「んあ?」

 クーラーが無い我が家で唯一量を取れる手段、すなわち扇風機を傍に置いてソファに寝そべっていた俺に、碧の瞳の同居人が声を掛けてきた。

「昼メシねぇ・・・」

 確かに腹は減っている。が、なんつーか、食べ物を咀嚼するというのが、酷く煩わしい。
 こんな日は、アレだ。

「あー、そうめんでいいぜ?」

 ツルッと喉を通る冷たい麺、あぁ、イイなぁ。
 何気なく言ったつもりだったが、

「・・・そうめん『で』いい?」

 同居人の声が、普段より低く聞こえた・・・ような?

「へえぇそうですかそうですか。そうめん『で』いいんですね。
 判りました。じゃあ悟浄、麺をゆでるところ『だけ』お願いしていいですか?いいですよね?」
「・・・お、おう」

 よくは判らねぇが、逆らったら只じゃ済まない気がした俺は、言われるがままに腰を上げた。

「茹で方はそうめんの袋の裏に書いてますから、宜しくお願いします。
 麺の準備が出来たら呼んで下さいね」
「・・・あぁ」

 何なんだ一体。
 訳が分からないものの、頭がそうめんを食べる気分になった以上、別の物を頼む気にもなれないのも事実で、
 取り敢えず鍋で麺を茹でて、それを水で冷やせばいいんだろう、そう思い、そうめんのパッケージを手に取った。

「あー、なになに、『大きな鍋に1人前100g辺り約1リットルの水を沸かし・・・』
 ってことは、2人前で2リットルか」

 カレー用の大鍋を取り出し、水を入れると、コンロに掛けて火を点ける。
 途端に、台所が熱気に包まれる。
 水がお湯になるにつれ、湿度も上がって不快指数も急上昇だ。
 辟易しながら、そうめんの袋の表示に目を通す。

「『沸騰した中に、束をほどいた人数分のそうめんを、バラバラになるように入れます』・・・」

 乾麺を束ねている紙帯を破り、麺を湯の中に入れた。

「『噴き零れないように気を付けながら、麺がくっ付かないよう箸でほぐします』・・・」

 菜箸で麺をかき混ぜているうちに鍋の中身がどんどん膨れ上がり、泡が鍋の縁まで上がってきた。

「わ、わ、わ、これ何分茹でるんだっけ?」

 袋の表示を見ると、『1分半~2分』とあった。
 まだ1分程しか経っていないけど、このままじゃ噴き零れちまう。
 慌てた俺は、取り敢えず火を止めることにした。

「えーと・・・『茹で上がった麺を素早くザルに移し、水で粗熱を取った後、流水をあてながらよくもみ洗いします』って、ザルってどこだっけ?」

 以前はもちろん自分だけが使っていた台所だが、ここ1年の間にすっかり様変わりしちまっている。
 幸い、手近な扉を幾つか開けたところですぐ見つかったので、それを流しに置いた。
 まあ、これで茹で始めて2分程になったから、結果オーライか?

「ここに麺を・・・ぅあっぢぃっっ!!!

 鍋を傾けた瞬間、顔に大量の蒸気が当たり、反射的に仰け反った途端、鍋を持つ手に大量の熱湯が掛かった。
 手が離れた鍋が、大きな音を立てて流しに転がる。
 手を冷やそうと勢いよく水を出すと、鍋から零れた麺まで排水溝へ流れていく。

「あー、あー、あー・・・」

 慌てて摘まみ上げた麺をザルに入れるが、3割程度は排水溝のゴミ受けに入ってしまった。

「あはははは夏のそうめん作り舐めやがってざまあ見やがれって感じですよね♪」

 いつの間にか、傍に立っていたのは、

「八戒・・・さん・・・?」
「食べるだけなら簡単でも、麺っていうのは水も手間も掛かるし何より暑いんです。
 更に付け合せに揚げ物なんて言おうものなら・・・解りますよね?
 これに懲りたら、『そうめんでいい』なんて金輪際言わないことです。いいですね?」
「は、はぃ・・・」

 いつもの笑みの背後に般若の形相が見えたのは、俺の気のせいじゃない筈だ。
 その日以来、俺が夏に茹で麺を頼むことはなかったのは、言うまでもない。




 どっとはらい。


 Yaho〇!の中の『Twitterをにぎわす話題』というコンテンツで紹介されていた話題をほぼ忠実にこの2人で再現。なんかもうグッジョブ過ぎて笑えます。
 世の奥様方、旦那さまから『そうめんでいい』と言われてカチンときたら、この方法ですよ!(笑)

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