20070812開設
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えー・・・まずはこんな小咄から↓(本館掲載現代パラレル設定)
――朝。
悟浄はガレージのシャッターを開け、愛用のバイクを家の前の道に押し出した。
親から受け継いだ――実際は兄との共有財産だ、現時点では――この家は、閑静な住宅街といえば聞こえは良いが交通の面ではかなり不便な場所に建てられている。
どの私鉄・JRの駅からも遠く、それらの駅へ通じるバスの路線からも随分離れており、一番近いバス停でも徒歩20分はかかる。
兄がこの家を出て一人暮らしを始めたのも、その辺りが原因だろう。
中学までは徒歩圏内だった悟浄も、高校に進級(出来たのだ、これが)して以降はこの悪環境に対応すべく、高校受験が終わってすぐ自動二輪の免許を取得した。
中学の間のバイト――という名の裏家業――で貯めた金は、当時随分ゲーセン等遊行費につぎ込んでしまったため、諸経費を差し引けば流石に原付バイクしか買えなかったが、
高校・大学(入れたのだ、これが)とガタイを生かして高収入のバイトを掛け持ちしたことで、大学卒業(出来たのだ、これが)と同時に250ccバイクを手に入れることが出来た。
ゆくゆくは限定解除免許を取得してリッターバイクを買いたいが、試験費用に購入費用に税金・車検等維持費諸々を考えると、当面はこのバイクが良き相棒だ。
自慢の長い足を広げてシートにまたがると、イグニッションキーを回してキックペダルを勢い良く蹴り下ろす。
ガコンッ
ブルンッ
・・・・・・
「あり?」
ガコンッ
ブルンッ
・・・・・・
エンジンが始動しない。
起動音はするが、そこからエンジンが動かない。
何度もキックする(しまいには左足が疲れたので地面に立って右足に替えた)が、エンジンはうんともすんとも言わない。
マ ジ で す か・・・!!
誰もいない路上で、独りムンクの叫びのポーズを取る。
え、故障?いやだって昨日まで問題なく走ってたぜっつーかガス欠?まだEから2目盛りはあったよな?てか今から修理ったってバイク屋何時から開いてるよ?いやそれよりバイク屋までコイツ押してくの?うわそれってスッゲ恥ずかしくね?ってそうだそれどころじゃねぇ。
普段左程多くの情報を詰め込むことのない脳ミソを一瞬にして様々な考えが過ぎるが、一番大切な事に気付いた悟浄は、慌てて携帯を取り出す。
rrrrr・・・
『お早うございます、悟浄。朝からどうしましたか?』
「おぉ八戒、あのさ、今朝の最初のスケジュールって・・・」
『何寝ぼけてるんですか、今日は朝イチからホールのクリスマスコンサート関連で舞台装置の業者との会議があるでしょう?ホール部門統括者の貴方の口八丁手八丁が役立つ数少ない場なんですから、遅刻厳禁ですよ?』
人の事を褒めてるのかけなしてるのか微妙な言い方だが、頭の中でバイクに乗った小猿がウィリーしている状態の悟浄にその皮肉が通じる筈もなく、ひたすら下手に出て、
「あー・・・えーと、ちょっとバイクちゃんのご機嫌が斜めっちゃって・・・今からバスで駅まで向かっても間に合うかどうか・・・」
『何か仰いましたか?』
「・・・イエ、ナンデモアリマセン」
かくしてバイクを諦めた悟浄は、バスと私鉄とJRを乗り継ぎ出勤したのだった。
歩いて20分かかるバス停までの道のりを5分で、各交通機関の乗換え区間を2分以内で走ってのけた彼の原動力が、仕事に対する責任感なのか、仕事仲間という名の会社の裏ボスに対する恐怖心なのか、
本人には、追究する気は今のところ、ない。
どっとはらい。
追記:何が笑えないって、これがほぼ実話という点(爆)。
香月の原付が、朝突然動かなくなりまして、
本気で駐輪場で独りムンクの叫びしてしまいました(-_-;)。
まあ幸い香月の職場のボスは誰かさんのようににっこり笑顔で恐ろしい事を言う人ではない(っていいますか元同期:笑)ので、何とか10分程度の遅刻でも許してもらえましたが。
ちなみにその原付は、1日余りバイク屋に入院して、現在は元気に退院しました。
・・・壊れるなとは言いませんが、せめて帰宅時にして欲しかった。
――朝。
悟浄はガレージのシャッターを開け、愛用のバイクを家の前の道に押し出した。
親から受け継いだ――実際は兄との共有財産だ、現時点では――この家は、閑静な住宅街といえば聞こえは良いが交通の面ではかなり不便な場所に建てられている。
どの私鉄・JRの駅からも遠く、それらの駅へ通じるバスの路線からも随分離れており、一番近いバス停でも徒歩20分はかかる。
兄がこの家を出て一人暮らしを始めたのも、その辺りが原因だろう。
中学までは徒歩圏内だった悟浄も、高校に進級(出来たのだ、これが)して以降はこの悪環境に対応すべく、高校受験が終わってすぐ自動二輪の免許を取得した。
中学の間のバイト――という名の裏家業――で貯めた金は、当時随分ゲーセン等遊行費につぎ込んでしまったため、諸経費を差し引けば流石に原付バイクしか買えなかったが、
高校・大学(入れたのだ、これが)とガタイを生かして高収入のバイトを掛け持ちしたことで、大学卒業(出来たのだ、これが)と同時に250ccバイクを手に入れることが出来た。
ゆくゆくは限定解除免許を取得してリッターバイクを買いたいが、試験費用に購入費用に税金・車検等維持費諸々を考えると、当面はこのバイクが良き相棒だ。
自慢の長い足を広げてシートにまたがると、イグニッションキーを回してキックペダルを勢い良く蹴り下ろす。
ガコンッ
ブルンッ
・・・・・・
「あり?」
ガコンッ
ブルンッ
・・・・・・
エンジンが始動しない。
起動音はするが、そこからエンジンが動かない。
何度もキックする(しまいには左足が疲れたので地面に立って右足に替えた)が、エンジンはうんともすんとも言わない。
マ ジ で す か・・・!!
誰もいない路上で、独りムンクの叫びのポーズを取る。
え、故障?いやだって昨日まで問題なく走ってたぜっつーかガス欠?まだEから2目盛りはあったよな?てか今から修理ったってバイク屋何時から開いてるよ?いやそれよりバイク屋までコイツ押してくの?うわそれってスッゲ恥ずかしくね?ってそうだそれどころじゃねぇ。
普段左程多くの情報を詰め込むことのない脳ミソを一瞬にして様々な考えが過ぎるが、一番大切な事に気付いた悟浄は、慌てて携帯を取り出す。
rrrrr・・・
『お早うございます、悟浄。朝からどうしましたか?』
「おぉ八戒、あのさ、今朝の最初のスケジュールって・・・」
『何寝ぼけてるんですか、今日は朝イチからホールのクリスマスコンサート関連で舞台装置の業者との会議があるでしょう?ホール部門統括者の貴方の口八丁手八丁が役立つ数少ない場なんですから、遅刻厳禁ですよ?』
人の事を褒めてるのかけなしてるのか微妙な言い方だが、頭の中でバイクに乗った小猿がウィリーしている状態の悟浄にその皮肉が通じる筈もなく、ひたすら下手に出て、
「あー・・・えーと、ちょっとバイクちゃんのご機嫌が斜めっちゃって・・・今からバスで駅まで向かっても間に合うかどうか・・・」
『何か仰いましたか?』
「・・・イエ、ナンデモアリマセン」
かくしてバイクを諦めた悟浄は、バスと私鉄とJRを乗り継ぎ出勤したのだった。
歩いて20分かかるバス停までの道のりを5分で、各交通機関の乗換え区間を2分以内で走ってのけた彼の原動力が、仕事に対する責任感なのか、仕事仲間という名の会社の裏ボスに対する恐怖心なのか、
本人には、追究する気は今のところ、ない。
どっとはらい。
追記:何が笑えないって、これがほぼ実話という点(爆)。
香月の原付が、朝突然動かなくなりまして、
本気で駐輪場で独りムンクの叫びしてしまいました(-_-;)。
まあ幸い香月の職場のボスは誰かさんのようににっこり笑顔で恐ろしい事を言う人ではない(っていいますか元同期:笑)ので、何とか10分程度の遅刻でも許してもらえましたが。
ちなみにその原付は、1日余りバイク屋に入院して、現在は元気に退院しました。
・・・壊れるなとは言いませんが、せめて帰宅時にして欲しかった。
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